一刀彫

一刀彫(400×265).jpg


「一刀彫り」とは、大和の風土の中で育まれてきた伝統技法です。
「一刀彫人形」は、またの名を「奈良人形」とも言われています。
(写真左より、土井志清氏、荒木義人氏、大林杜壽園氏、浦弘園氏の作品です。)


桧、桂、楠などを素材としてノミで豪快に彫り上げ、
仕上げとして、緻密で華麗な極採色を施していることが
大きな特徴として挙げられます。


一刀彫彫り(400×265).jpg


すべてを曲面にしてしまうのではなく、あえて鑿跡を残し、
木の温もりをも感じさせ、鋭く美しい動きを表現している木面、
そしてそれを鮮やかに彩る金箔や岩絵具による華麗な色彩は、
薪能の装束から影響を受けたもので、雅な宮廷文化を思い起こさせてくれます。


一刀彫の起源は、平安時代の終わりごろ春日若宮祭において、
田楽の笛吹笠、盃台を飾る風流人形として飾られたものだといわれています。


当初は、神事に使われるものであったため、
できるだけ人の手が触れないようにと、シンプルなつくりのものでしたが、
一刀彫りの大きな特長である極彩色は当時から施されていました。

江戸時代に入ると、それまで祭礼にのみ使われていた一刀彫りが、
能楽、舞楽、鹿、十二支、ひな人形や節句人形にも使われるようになり、
一般の人々の生活を彩る美術品として親しまれるようになりました。


伝統ある一刀彫は、その時代その時代に合わせて形を変えながら、
現在も生活によりそう伝統工芸品のひとつとして、
たくさんの人に愛されているのです。