烏梅づくり

6月29日、梅花で有名な奈良市月ヶ瀬で、今年も「烏梅」づくりが始まりました。

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「烏梅」という言葉に馴染みのない方も多いのではないでしょうか。

「うばい」と読み、煤をまぶし、烏のように黒くなった梅の実を燻して乾燥させ作られます。

かつて、紅花染めの鮮やかな色を引き立てる媒染剤として染色の問屋にとても人気があり、
お米よりも高値で売られていたと言います。

化学染料が普及する現在では、作っているのは月ヶ瀬でただ1軒のみ。

烏梅を必要としてくれる人たちを想い、代々作り続けておられます。


この、とても貴重な烏梅の作り方
をご紹介いたします。

2018年6月29日、月ヶ瀬の天満天神社に手を合わせ、いよいよ今年の烏梅づくりが始まります。

今年は、梅の実が熟すのが少し早かったようですが、例年は半夏生の日にお参りをされるそうです。

烏梅には、梅の木から落下した熟した実を用います。
月ヶ瀬の保勝会の方々が、梅の実を集めて届けて下さるそうです。

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作業場全体に梅の香りが、ふわっと広がります。

この梅の実に、煤をまぶしていきます。

檜の間伐材を3本まとめて三脚状にしたものに、「箕」を吊るし、
箕の中に梅の実を入れ、煤が付きやすいように棕櫚(しゅろ)の刷毛で水打ちを行います。

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濡れた梅の実に煤を振りかけ、箕を振るいながら実全体にまぶします。

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使い込まれた箕は、煤で真っ黒になり、煤をまとった実は艶やかです。

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これから、この実を窯で燻すため、
烏梅用の「梅簾(うめすだれ)」に隙間なく梅の実を並べていきます。

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ぴったりと並んだ梅の実が、とてもきれいです。
煤まぶしと並行して、作業場に設けられた窯に火を熾します。

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烏梅を燻すため、地面に60cmほどの穴を掘って作られた専用の窯。

燻している間、途中で火が消えてしまわないように、火の回りにもみ殻を撒いていきます。

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この上に2段に重ねた梅簾を設置し、空気の通りを作るため、
檜の丸太を置き、筵(むしろ)を何枚も重ねます。

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長く燻すため、筵が乾燥しないようジョウロで水を撒いておきます。

そのため、しばらくすると筵から蒸気があがります。
このまま、何度か火加減を確認しながら、丸一日燻し続けます。

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新しい筵と、使い込まれた筵。
筵も何度も使い込むことで、味わい深い色に変化しています。

この作業は、梅の実が取れる7月12日頃まで行われるそうです。


作業場には、窯は2箇所あり、燻された後の梅の実を庭に運び、
半月からひと月かけて天日干しをします。

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今の時期は夕立などもあり、烏梅から片時も離れられず、家族で見守っていると言います。


今年も、烏梅の出来上がりを楽しみに待っている染色家の方がおられるそうで、
月ヶ瀬の地が育んだ技が、染色家の方々の仕事を支えています。

烏梅は奈良が誇る文化財保存技術です。