柑橘のはじまり、奈良

本格的な冬到来で、冷え込みの大きい日々が続きます。

冷たい風が吹く一日は、こたつの中でゆっくり過ごしたい、
そして、そのこたつの上には、ぬくもりある色のみかんが置いてある。

なんとも冬らしい光景ですね。

甘く、手軽に食べられる温州みかんは、ちょうど旬の時期を迎え、
街中を歩いていると、みかんが売られているのをよく見かけます。

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一口にみかんを柑橘類と言っても、その種類は沢山あります。
これら爽やかな甘さが特徴の果実の始まりが、
実は奈良にあったということをご存じでしょうか。


時は、日本書紀の時代まで遡ります。

第十一代天皇である、垂仁(すいにん)天皇は、
田道間守(たじまもり)に、不老長寿の秘薬を探すよう命じます。

そうして、彼は海を渡り、長い年月をかけて
「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」という実を見つけ出しましたが、
日本へ戻った時には既に天皇はご逝去されていました。

田道間守は悲しみのあまり、
天皇を追いかけるようにして最期を迎えることとなりました。

このとき彼が持ち帰った非時香菓は奈良の中で蒔かれ、
今の橘の元となったと言われています。


さて、今私たちが食べている柑橘の果実は、ビタミン類など栄養が豊富で、
香りも心身を整えるのに良いとされています。
薬効があるとして、古代の日本にもたらされたこともうなずけます。

三輪山の山すその古代道「山の辺の道」に位置する「森岡祥章観光果樹園」では、
金柑などの様々な柑橘類を育てており、秋から冬にかけては、
温かな柑橘の色と、爽やかな香りに包まれています。
毎年秋になると、みかん狩りも楽しめます。

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「幼い頃に食べていた、この味でないと」と、代々愛される、
こちらの「山の辺みかん」は、甘み・酸味・コクのバランスの良さが特徴です。


こちらの農園のある、穴師の地にはかつて、垂仁天皇の都があったそうです。

そのため、田道間守がもたらした非時香菓の苗をこの地で栽培し、
現在まで大切に伝え続けられてきたと言います。

農園から少し歩いた先にある「穴師坐兵主神社(あなしにいますひょうずじんじゃ)」で、
田道間守を神様として祀っておられると伺い、訪ねました。

穴師坐兵主神社は、歴史がとても古く、最高の格式の神社です。

創建は、第十代天皇の崇神(すじん)天皇の時代、倭姫命(やまとひめのみこと)が、
天皇の御膳の守護神をお祀りしたことが始まりです。

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橘神社は、ご本殿から向かって右手奥に進んだ先にお祀りされおり、
発祥の地である穴師から、美味しく、栄養ある果実として愛されている柑橘を
一心に見守って下さっているように感じます。

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また、宮司様の御厚意によりお見せいただいた橘は、とても貴重な柑橘で、
みかんより小ぶりの果実が、とても可愛らしいです。

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穴師では、発祥の地としての誇りを持たれ、
それを守り続けていらっしゃる皆さまの熱意を、感じることができました。

太古からの想いを馳せながら、あたたかみのあるその味を、
ぜひこの冬、味わってみてくださいね。